• Home
  • About
  • Blog
  • 2016/12/15 00:01

    前田は花を作る時、おどる


    いきなりで驚かれた方もいるかもしれない。

    「え、あの前田がおどるの?ほんとかしら?」と。

    本当である。

    前田はおどるのだ。


    おどると言ってもEXILEみたいなダンスではない。

    おどると言ってもPerfumeみたいなダンスでもない。


    音楽に合わせ身体をくねらせ前後左右に揺れおどる。

    はたから見たら珍妙な動作であるかもしれないが、くねくねおどる。


    なぜ、前田はおどるのか?である。

    これはきっと僕の中の抑圧された自意識というマグマのせいだと思う。


    AC/DC Tシャツ事件


    13年前、初めて花屋で働いた。

    一昔前の花屋といった店舗である。

    面接の時に私服で勤務していいと言われたので、

    当時から好きだった*AC/DCのTシャツを着て仕事をしていた。

    AC/DCを胸にすることがなんだか誇らしかったのである。

    *写真はこの話よりも6年ほど後の姿である


    しかし、ある日の事、社長の機嫌があまり良くなかったのだろう。

    「おい、君、なんだその服は?」

    僕の自慢のAC/DCシャツにチェックが入った

    「あ、ダメですか?何度か着てたのですが…」別にそれが初めてのことではなかったので僕はそう答えた。

    「ダメですか、だと?何を言っているのだね、君は。銀行員みたいな格好の一つでもできないものかね。どんな職種でそんな服着て仕事するやつがいるのだね!いるなら言ってみなさい!」

    僕は真に受けて答えてしまった。

    「そうですね、中 古 レ コ ー ド 店 の ア ル バ イ ト と か で す か ね !」と声を張って言った。

    めちゃくちゃ怒られた。


    「今すぐ着替えてくるか、今日は帰るかどっちだ!」とたずねられたので、帰りたい気持ちを抑えて、とりあえず「着替えてきます」と言って、帰宅してカッターシャツに着替え、また店に戻った。

    社長は「そうだよ、その格好だよ!よく似合ってるじゃないか!最初からそれができたらいいんだよ!」と満足気な顔であった。

    僕は「どうせなら ネ ク タ イ も し た 方 が 良 か っ た で す か ね ! 銀 行 員 み た い に !」と声を張って言った。

    めちゃくちゃ怒られた。


    すぐに退職した。


    AC/DCと前田と第2のオクダ


    そう、だから僕は10代の頃からAC/DCを聞いていた。

    14-15年前はAC/DCのCDが大手レコード屋にあまり売っていなかった。

    なので中古CDショップに足繁く通っていた。

    そこで最初に買ったアルバムが『Ball breaker』というAC/DCの中では地味なアルバムであった。

    最高傑作の『Back in Black』と間違えて買ったのである。

    なんとなくタイトルが似ているからね。


    それでもそのボールブレイカーを聴くにつれてなんか良さを発見していった。

    当時、唯一洋楽の話ができた友人のオクダ(オクダーノフとはまた違うオクダである)くんと2人で盛り上がったのが懐かしい。

    彼は今、何をしているのだろうか。

    当時、彼が作っていた楽曲『真冬の筋肉トレーニング』は完成したのだろうか。


    先に進もう。

    そんな感じで友人がいたからAC/DCにすんなりと馴染んでいったのである。

    14年の年月とともに僕の感情マグマとAC/DCは結びついているからテンションを上げてくれるし、その果てにおどりだす。

    今もこの文章を打ち込みながらおどりだすのを我慢している。

    去年、休みの日にヘッドホンでAC/DCを聞きながら部屋の中で1人おどりくるっていたら、翌日になって恐ろしいほどの全身筋肉痛に見舞われたことを書き記しておく。


    花とおどりとAC/DC


    それから紆余曲折あり、また花屋で働くことにした。

    そして前の会社では新人の頃はマグマを貯めるかのごとく寡黙に仕事していた。

    仕事は楽しかったけれど職場で流れるBGMはとても退屈であった。

    そして時は経ち、先輩がほぼいなくなり前田時代が来た。


    噴 出

    である。


    そう、僕は気づいてしまった。

    AC/DCを聞きながら花を作ることの楽しさに。

    それ以来、業務中にしょっちゅうAC/DCを流してはおどっていた。


    抑圧されるものがなくなれば人はおどりだす。

    多分、これは文化人類学的にもそうなんじゃないんですかね。

    おどりは解放である。

          

    祭りごとのネイティヴダンスもきっとそう。

    職業的なダンサーはどうか知らないけど。


    そんな感じで少し高揚した感じになると大胆なアイデアも浮かんだりする。

    そこを冷静に作り込んでいく作業がとてもよい。

    自由な花とAC/DCは完全なる喜びの舞である!


    だから生きてる間はずっとAC/DCと花でおどりたい。

    マジで。


    ----------------------------------------------------------

    *AC/DC

    オーストラリア出身のヤング兄弟率いるベテランロックバンドである。

    ハードなギターリフと甲高いシャウトを主軸とした音楽性は結成以来40年以上変わっておらず、欧米や南米で絶大な人気を誇る。

    日本国内でも近年、知名度は高まってきたとは言え、それでもあまり人気は高くない。


    1980年 発売『Back in Black』は世界で4900万枚のセールスを記録

    2008年 発売『Black ice』は世界29ヶ国でNo.1ヒット

    2016年 iPhone7のCM曲に「Thunderstruck」が採用される


    ----------------------------------------------------------


    フライドポテトのフィジカルテイスト問題-あるいはAC/DCの音楽性】

    *これまでの本筋とは一切関係ない話


    ある日、洋食屋で注文したフライドポテトを満足気に食べている僕にワイフがたずねた。

    「ねぇ、あなたは本当にフライドポテトが好きなのね。美味しい?」と微笑んでくれた

    「そうだね、とてもフィジカルな味がするんだ」とワイフに告げた。

    「あなたはいったい何を言っているの?素っ頓狂?」そんな風に僕を見るワイフ。

    これは明瞭な説明が必要だと思い「そう、AC/DCに似ているのかな」と補足した。

    「あら、AC/DCもフィジカルな味がするのかしら?」とワイフ。

    「そう、身体的な表現という部分では共通するのかもしれないね、ポテトとAC/DCはと僕が答える。

    「あなた、もう少しわかりやすく言ってちょうだい」ワイフが続きを促した。


    こうして我々夫婦間で始まったのが

    【フライドポテトのフィジカルテイスト問題-あるいはAC/DCの音楽性】である。

    この議論は未だおわっていない。


    おわり